退去費用のトラブルの多くは、入居時の状態が記録されていないことで発生します。「入居前からあった傷・汚れ」を退去時に「借主がつけた」と主張されても、証拠がなければ反論が難しくなります。
この記事では、入居時にやっておくべき記録の残し方と確認ポイントを、部位別チェックリストとともに解説します。
なぜ入居時の記録が重要なのか
退去時の費用負担について争いが生じた場合、「入居前から存在していた損傷かどうか」が重要な判断材料になります。
- 入居前からの傷・汚れ → 借主の負担なし
- 入居後に生じた損傷 → 故意・過失であれば借主負担の可能性あり
入居時に写真・書面で状態を記録しておくことで、退去時に「私がつけた損傷ではない」と主張する根拠を残せます。
退去までの全体の流れと各段階でやるべきことは退去の流れチェックリストにまとめています。
入居当日にやるべき3つのこと
1. 全室の状態を写真・動画で記録する
撮影のポイント
- 部屋全体を複数アングルから撮る(四隅から1枚ずつ)
- 傷・汚れ・変色は接写と全体写真の両方で撮る
- 日時が記録されるようにスマートフォンのカメラ機能を使う(GPS情報付きが理想)
- 動画でひと通り記録しておくと抜け漏れが防げる
特に念入りに撮影すべき場所
- 壁(クロス)の角・下部・水回り周辺
- フローリングの傷・変色・汚れ
- 建具(ドア・窓枠・網戸)の傷・開閉具合
- キッチン・浴室・トイレ(水垢・カビ・換気扇の状態)
- エアコンのフィルター・本体
2. 入居前チェックシートに記入する
管理会社からチェックシートが配布されることがあります。受け取った場合は必ず自分でも確認して記入し、コピーを手元に残してください。
チェックシートが配布されない場合は、自分で以下のチェックリストを使って記録してください。
3. 問題のある箇所を管理会社に書面で申し送りする
入居時に気になる箇所があれば、メールや書面で管理会社に連絡してください。「既存の傷・汚れ」として記録に残しておくことで、退去時の争いを防ぎます。
入居時チェックリスト
壁・天井
- クロスに傷・穴・破れ・カビはないか
- クロスの変色・黄ばみ・染みはないか
- 天井に雨漏り・シミの跡はないか
- 壁紙の浮き・剥がれはないか
床
- フローリングに傷・へこみ・変色はないか
- カーペットに汚れ・焦げ跡・傷みはないか
- 畳に変色・カビ・傷みはないか
- 床鳴り(歩いたときに音がする)はないか
キッチン
- シンクに錆・傷・汚れはないか
- コンロ周りに焦げ・汚れはないか
- 換気扇に油汚れ・異音はないか
- キッチンの壁・タイルに汚れ・破損はないか
浴室・洗面所・トイレ
- 浴槽に傷・変色・欠けはないか
- 浴室のコーキングに劣化・カビはないか
- 換気扇に汚れ・異音はないか
- 洗面台に傷・変色・汚れはないか
- トイレの便座・タンクに傷・汚れはないか
- 排水口に詰まり・臭いはないか
建具・設備
- ドアの傷・変形・開閉不具合はないか
- 窓・サッシのガタツキ・傷・汚れはないか
- 網戸の破れ・歪みはないか
- エアコンの動作確認(冷暖房・異音)
- 照明器具の動作確認
- インターホンの動作確認
収納・その他
- 押し入れ・クローゼットにカビ・汚れはないか
- 玄関・廊下の傷・汚れはないか
- ベランダ・バルコニーの汚れ・破損はないか
記録した写真の管理方法
入居時の写真は退去まで保存し続ける必要があります。
推奨する保存方法
- クラウドストレージ(Google フォトや iCloud)で自動バックアップ
- 「入居時記録」としてフォルダにまとめておく
- 管理会社に送ったメールの送信記録も残しておく
スマートフォンの機種変更などで写真が消えないよう、複数の場所にバックアップすることをおすすめします。
入居時の記録がなかった場合の対処
すでに入居済みで入居時の記録がない場合でも、以下の対応が有効です。
- 管理会社の記録を確認する:管理会社が入居前の状態を写真・書類で記録しているケースがある
- 以前の入居者情報を確認する:長期にわたる傷・汚れは経年劣化として扱われる可能性がある
- 退去立会い時に冷静に主張する:「入居時からあった傷」として主張できる場合は、確認を求める
退去立会い時の注意点は「退去立会いで損しない|当日の注意点とサイン前の確認事項」を参照してください。
まとめ
- 入居時の写真・記録が退去費用トラブルを防ぐ最大の武器
- 部屋全体と傷・汚れの接写を日時付きで撮影する
- 問題のある箇所は管理会社にメール等の書面で申し送りする
- 写真はクラウドで退去まで保存し続ける
- 記録がなかった場合でも、管理会社の記録や経年劣化の主張で対応できる場合がある
退去費用のトラブルは「起きてから対処する」よりも「入居時から防ぐ」ほうが圧倒的に楽です。引越し後すぐに確認・撮影を済ませておきましょう。