賃貸物件の床材がカーペットやCFシート(クッションフロア)の場合、退去時の費用負担はフローリングとは異なる扱いになります。耐用年数の考え方も違うため、「フローリングと同じだろう」と思っていると、過剰な請求に気づかないことがあります。

この記事ではカーペット・CFシートの費用負担のルールと、適正額の計算方法を解説します。


カーペット・CFシートの耐用年数は6年

国交省ガイドラインでは、カーペットとCFシートの耐用年数は6年です。フローリング(建物の一部として22〜47年)と比べて短く、入居年数が長いほど借主の負担はゼロに近づきます。

床材耐用年数6年超入居時の借主負担
カーペット6年残存価値ほぼゼロ(材料費負担なし)
CFシート6年同上
フローリング(全面張替え)建物の耐用年数(木造22年等)入居年数に応じて計算
フローリング(部分補修)適用なし実費

入居年数別の借主負担割合(早見表)

カーペット・CFシート共通(耐用年数6年)

入居年数残存価値割合修繕費3万円の場合修繕費5万円の場合
1年約83%約24,900円約41,500円
2年約67%約20,100円約33,500円
3年約50%約15,000円約25,000円
4年約33%約9,900円約16,500円
5年約17%約5,100円約8,500円
6年以上ほぼ0%ほぼゼロほぼゼロ

自分の入居年数と請求額を上の早見表に当てはめた参考値は、退去費用診断ツール でも確認できます。


何が「借主負担」になるのか

カーペットの場合

貸主負担(払わなくていい)

  • 日焼けによる変色
  • 通常の使用でできた擦り減り・へたり
  • 家具を置いていたことによる凹み

借主負担(払う必要がある)

  • タバコの焦げ跡
  • 飲食物のシミ(清掃しても落ちない汚れ)
  • ペットによる引っかき傷・臭い染み
  • 大量の染み・汚損で実用上使えなくなった損傷

CFシートの場合

CFシート(クッションフロア)は主にトイレ・洗面所・キッチンなど水回りに多く使われます。

貸主負担(払わなくていい)

  • 経年による変色・劣化
  • 通常使用の範囲の傷・摩耗

借主負担(払う必要がある)

  • 家具の重みによる凹み・変形(長期間の家具設置)
  • 水漏れ放置による腐食・カビ
  • ペットの爪による傷・臭い染み

ポイント:CFシートに家具を置いたことによる凹みは「借主負担」とされるケースがありますが、この場合も耐用年数(6年)による残存価値計算が適用されます。


適正単価と過剰請求の目安

項目適正単価過剰ラインの目安
カーペット張替え1,500〜3,500円/㎡5,000円/㎡超は要確認
CFシート張替え1,500〜3,000円/㎡5,000円/㎡超は要確認
CFシート張替え(トイレ1室)8,000〜15,000円25,000円超は要確認

面積の確認

請求書に記載の面積が実際の部屋の広さと合っているか確認してください。

  • 6畳のカーペット面積:約10㎡
  • 1K全体(20㎡):床面積と壁・柱を除いた実測面積が目安

フローリングとの違いまとめ

比較項目カーペット・CFフローリング(全面)
耐用年数6年建物の法定耐用年数(22〜47年)
6年超入居時の材料費負担ほぼゼロ残存割合に応じて負担あり
部分補修の扱い損傷部分のみ請求が原則損傷部分のみ実費(耐用年数適用なし)
主な損傷原因焦げ・シミ・ペット傷・へこみ・腐食

フローリングの詳細は「退去費用のフローリング負担|部分補修と全面張替えの判断基準」を参照してください。


精算書の確認手順

  1. 床材の種類(カーペット/CF/フローリング)を確認する
  2. 損傷の原因が「借主の過失」か「通常損耗・経年劣化」かを判断する
  3. 借主負担と判定した場合、入居年数から残存価値割合を計算して上限額を算出する
  4. 請求単価・面積が適正かを確認する

計算方法の詳細は「退去費用の経年劣化・耐用年数の計算方法」、見積もり書全体の検証は「退去費用の見積もり検証ガイド完全版」を参照してください。


まとめ

  • カーペット・CFシートの耐用年数は6年。6年以上入居なら材料費の借主負担はほぼゼロ
  • 日焼け・凹み・へたりなど通常使用による損耗は貸主負担
  • 焦げ跡・シミ・ペット損傷など故意・過失による損傷は借主負担(残存価値計算あり)
  • 単価は1,500〜3,500円/㎡が目安。5,000円/㎡超は過剰の可能性を疑う
  • フローリングと異なり、建物の耐用年数ではなく6年が適用される点が重要

実際の請求書を手元に置いて参考値を確認したい場合は、退去費用診断ツール をご利用ください。