退去費用の相場は間取り・入居年数・喫煙やペットの有無によって大きく異なります。「高い」「安い」の判断基準を持たないまま支払うのは危険です。この記事では国交省ガイドラインをもとに、あなたの状況に合った適正額の目安と検証手順を整理します。


間取り別の退去費用相場(入居年数3〜5年)

まず、一般的な入居年数(3〜5年)での間取り別の適正相場を確認してください。

間取り適正相場(3〜5年入居)過剰ラインの目安
1R・1K3万〜6万円8万円超は要確認
1DK・1LDK4万〜8万円10万円超は要確認
2DK・2LDK6万〜12万円15万円超は要確認
3DK・3LDK8万〜15万円20万円超は要確認

相場の1.5倍以上の請求は過剰請求が含まれている可能性が高く、精算書の内訳を必ず確認する必要があります。

間取り別の詳細は各記事で解説しています。→ 1LDKの退去費用相場 / 2LDKの退去費用相場 / 3LDKの退去費用相場

詳しい検証手順は「退去費用10万円は高い?間取り・年数別の相場と検証方法」を参照してください。


入居年数別の費用変化:長く住むほど借主負担は下がる

入居年数が長いほど設備の経年劣化が進み、借主の負担額は減ります。これは国交省ガイドラインに基づく考え方です。

借主負担上限額 = 修繕費用 × (1 − 経過年数 ÷ 耐用年数)

クロス(壁紙)の入居年数別負担割合

クロスの耐用年数は6年です。

入居年数借主負担割合(目安)
1年約83%
2年約67%
3年約50%
4年約33%
5年約17%
6年以上ほぼゼロ(残存価値1円)

6年以上入居していれば、クロス張替えの材料費の借主負担はほぼゼロです。

入居年数別の詳細は各記事をご覧ください。→ 1年住んだ場合 / 5年住んだ場合 / 6年住んだ場合 / 10年住んだ場合ただし、施工の工賃(職人の手間代)は別途請求される場合があります。

間取り別・入居年数別の適正相場(目安)

間取り1〜2年3〜5年6年以上
1R・1K2万〜4万円3万〜6万円1万〜3万円
1DK・1LDK3万〜6万円4万〜8万円2万〜4万円
2DK・2LDK4万〜8万円6万〜12万円3万〜6万円
3DK・3LDK6万〜12万円8万〜15万円4万〜8万円

特殊事情がある場合の相場加算

通常使用の場合の相場に加えて、以下の特殊事情がある場合は費用が上乗せされます。

喫煙(タバコ・ヤニ汚れ)がある場合

ヤニ汚れは「通常損耗」ではなく「特別損耗(故意・過失)」として扱われるため、原則として借主負担です。ただし耐用年数による残存価値の計算は適用されます。

  • 1K・3年入居の場合の追加費用目安:+2万〜5万円
  • 全室クロス張替えが必要な場合:+5万〜15万円

詳しくは「退去費用のタバコ・ヤニ汚れ負担額|耐用年数と過剰請求の見分け方」を参照してください。

ペット飼育があった場合

ペット可物件でも、ペットによる損傷(ひっかき傷・臭い・汚れ)は借主の過失として扱われます。

  • ワンルーム・1K:追加で5万〜15万円
  • ファミリー向け(2LDK以上):追加で10万〜30万円

損傷の範囲と経過年数によって大きく変わるため、入居年数に応じた残存価値の計算が必要です。


退去費用に含まれる主な費用項目

精算書に含まれる主な費用項目と、借主・貸主どちらの負担が原則かをまとめます。

費用項目原則備考
クロス(経年劣化)貸主負担故意・過失がある場合は残存価値分を借主負担
クロス(ヤニ・落書き等)借主負担耐用年数(6年)で残存価値計算
ハウスクリーニング貸主負担有効な特約がある場合は借主負担
エアコンクリーニング貸主負担特別汚損は借主負担の場合あり
フローリング部分補修借主負担(故意・過失)経過年数考慮なし
フローリング全面張替え借主負担(故意・過失)建物耐用年数で残存価値計算
鍵紛失によるシリンダー交換借主負担経過年数考慮なし
設備の経年劣化による交換貸主負担エアコン・給湯器等

精算書を受け取ったら3ステップで検証する

Step1 間取り・入居年数から相場と比較する

上記の相場表と自分の状況を照合し、請求額が相場の1.5倍を超えていれば次のステップへ進みます。

Step2 各項目の残存価値を計算する

精算書の各行について耐用年数に基づく借主負担上限額を計算し、請求額との差額を算出します。

Step3 単価・面積が相場内かを確認する

工事内容適正相場単価
クロス張替え800〜1,200円/㎡
ハウスクリーニング(1K)25,000〜40,000円
エアコンクリーニング8,000〜15,000円/台
フローリング部分補修3,000〜8,000円/枚

上記の1.5倍超の単価があれば交渉ポイントになります。

詳細な検証手順については「退去費用は交渉できる|減額の手順と交渉文例を解説」を参照してください。


請求額が相場を超えていた場合の対処

  1. 精算書の内訳を書面で要求:「一式」記載は内訳の明示を求める
  2. 残存価値計算で適正額を提示して交渉:メール(書面)で行う
  3. 消費生活センター(188)に相談:あっせんで解決するケースあり
  4. 少額訴訟:差額60万円以下なら弁護士不要で申し立て可能

払えない場合の対処法は「退去費用が払えない場合の対処法|まず金額を検証すべき理由」を参照してください。


まとめ

  • 1K・3〜5年入居の適正相場は3〜6万円。8万円超は過剰請求を疑う
  • 入居年数が長いほど借主負担は下がる。6年以上ではクロス等の材料費はほぼゼロ
  • タバコ・ペットは特別損耗として借主負担だが、耐用年数計算は適用される
  • 精算書は「相場比較→残存価値計算→単価照合」の3ステップで検証する

見積書の内容が適正かどうか迷ったときは、退去費用診断ツールで確認してみてください。